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病気で苦しむ患者さんに、少しでも早く治療薬を届けたい

今回は新たな薬を創るために取り組む研究員にインタビューしました。普段の仕事や、日々どのような想いで研究に取り組んでいるのかについて、濱村(ハマムラ)さんに聞きました。

【濱村さんのプロフィール】
大学でがんの治療薬の候補となる化合物を研究。2019年に入社し、中枢神経領域の研究所に配属され、精神・神経疾患の治療薬の研究開発に従事。2022年に新しく設立した大阪創薬研究センターへ異動し、日々研究を続けている。


新たな治療を見つけるために、なぜ病気がおきているかを明らかにする


―現在の業務について教えてください。

濱村:大阪創薬研究センターで、まだ病気の原因がわかっていない精神・神経疾患の難病について研究をしています。新たな治療法を見つけ出すために、病気がおこるメカニズムを明らかにすることは、その突破口のひとつになります。そこで、iPS細胞を用いて、病気がおこるメカニズムを調べるための基礎となる技術や方法を確立し、応用できるようにしていくことが私の仕事です。

難病はなかなか治療薬を創ることが難しいと言われていますが、その理由のひとつに、なぜ病気が発症するのか、その原因が十分解明されていないことがあげられます。病気の原因を洗い出すことで、新たな治療法の発展へつなげたい。そして患者さんはもちろん、サポートしているご家族のQOL(Quality of Life:生活の質)の向上にも貢献したいと思い取り組んでいます。

まだ見ぬ道を切り開く仕事


―今の仕事で大変なことを教えてください。

濱村:iPS細胞を用いた研究が始められたのはだいぶ前になりますが、iPS細胞を使って新しい薬づくりを目指すうえで、「この方法なら成功する」というものはまだ確立されていません。また、疾患ごとにある特徴を見つけだすというのは大変で、簡単に見つかるものではありません。私たち自らが新たな道を切り開いていく必要があります。論文を読むだけでなく、他の分野を研究している社員にも意見を聞いたり、自ら実験をしたりして、一歩一歩進めている状況です。

―長い道のりで、難しそうなお仕事ですね。

濱村:はい。ですが、新しい薬を創る「創薬研究」というのは、その病気がすでに社会課題として認識されている状況から始まります。つまり、既に苦しんでいる患者さんがいらっしゃる状況ですから、そういった方々にいち早く治療薬を届けて、病気のない生活を送っていただきたい。そういう想いと使命感で日々取り組んでいます。研究は時間もかかるので、そこは正直もどかしい気持ちもあるのですが、今取り組んでいる研究で、いつか患者さんを救えるのではないかと信じて仕事をしています。

「自分にしか見つけられないもの」を見つける


―そもそもの話となりますが、濱村さんはなぜ創薬に取り組もうと思ったのですか?

濱村:実は学生時代に、身近に病気で苦しんでいる方がいて、何か医療に貢献できないかと考えるようになりました。医師を目指すか悩んだ時期もありましたが、医師一人が一生に診ることのできる患者さんの数には限りがありますし,治すことが難しい病気もあります。もし研究で新しい薬を創ることができれば、治療薬がなくて困っている患者さんを救うことができます。それに自分ひとりでは手が届かないような、それこそ地球の裏側の人でも薬を通して治していけるのではないか、と考えました。

―大学で薬を創る研究をしていたと聞きました。実際に学んでみてどうでしたか?

薬を創る上で重要な核となる化合物を探すという作業は、ある意味で少し宝探しに近いところがあるなと感じました。決して簡単なことではないですし、数年から数十年と膨大な時間もかかるからです。
また、見つけた化合物がその病気にどのように作用するのか、という作用メカニズムを調べることは、謎解きのようなところもあって、さらに継続して取り組みたいと思うようになりました。

大学時代、教授から言われて印象に残っていることは「普通の人では見つけられるものを見つけても仕方がない。あなたにしか見つけられないものを見つけてください」という言葉です。実際に研究している中で、ある化合物を見つけたことがありました。「この化合物は多くの画像を見てきた自分にしかわからない。どうか研究させてほしい」と教授に申し出たところ、「濱村くんがそう言うなら、やってごらん」と後押ししてもらえました。教授から言われたこの言葉は今も私の研究の礎になっています。

「ものまねしない創薬」を目指して


―研究者として、なぜ大塚製薬を選んだのでしょうか?

濱村:大学で進路を考えていたころ、大塚製薬では、自主性をもって各人が自由にやってみる風土があると知りました。

これは大塚製薬で働きたいと思った理由の一つで、「この会社は社員ひとりひとりの自主性を尊重してくれそう」「研究の必要性や意義を自分が信じて、きちんと説明すれば後押ししてもらえるかもしれない」という印象をもちました。
また実際に,大塚製薬の会社説明会に行って当時の研究所長と話をしてみると、言葉の端々から「ものまねしない創薬」への思いを大事にしていることがわかりました。
これらのマインドは私が大学にいたときに教授から学んだ理念や考え方と共通しており、とても心に響きました。

―実際に入社してみて、どうでしたか?

これまで大学で研究してきたがんの領域から中枢神経という違う分野への配属でしたが、不安よりも、新しいことに触れられるという期待で胸がいっぱいでした。
入社してみて、研究テーマにおいても、若手などに関わらず誰でも提案しやすい環境で、会社説明会で感じた通りでした。
実際に研究テーマを個別に研究所長や上司に相談した際にも、とても親身になってアドバイスや意見をくれました。ときには「重要と思うならやってみたら」と力づけてくれました。
先輩や後輩など周りの同僚も積極的に意見を出していて、私自身そういった周りの雰囲気や研究に対する姿勢に刺激を受けてきました。
普通なら「無理でしょ」とか「難しいんじゃない?」と思うことでも、違う角度から考えて追求することで、患者さんやそのご家族を救う「ものまねしない創薬」に繋がっていくのだと感じています。

―大変なことも多いと思いますが、どんなやりがいがありますか?

自分たちの立てた仮説が実証されたときは、治療薬に一歩近づけたと感じられて、非常にやりがいを感じます。ただ、同時に「まだ患者さんを救えていない」ということも忘れないようにしています。
大学時代に、とある医療機関で研究させていただいたときに、少し良い結果がでて喜んでいたら、当時の指導医に叱られました。「まだ誰も救えていないじゃないか」と。本当にその通りだと思いました。
それ以来、仮説が検証できて一歩前進できたことを喜びつつ、それでも「誰ひとりまだ救えてないのだ」ということを念頭において、使命感を持ち続けるように意識しています。

―最後に、今後の夢を教えてください!

濱村:まずは今取り組んでいるiPS細胞を用いたプロジェクトで成果を出して、いつか世の中に新薬を提供することで社会に貢献していきたいです。将来的には、一からプロジェクトを立ち上げて薬を創ることで、患者さんやそのご家族をサポートできればと思います。

編集部のつぶやき

お読みいただきありがとうございました!研究員のお仕事や創薬研究への想いにふれ、その使命感の高さに感銘を受けました。今後も社員インタビューを掲載していきます。次回もお楽しみに!!

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